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GL小児滲出性中耳炎診療ガイドライン 2022年版
ニュートピックス
・「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン」が改訂された.イラストを用いた疾患の概説や海外のガイドラインを踏まえた知見が紹介されている.
・欧米を中心とした多施設共同研究や医療ビッグデータの解析で,COVID-19流行後に小児滲出性中耳炎は著減していると報告されている.これはsocial distanceやマスクなどの社会環境の変化により,本疾患の原因となる鼻副鼻腔や上咽頭の感染が減少したためと推察される.本疾患の治療に,周辺器官の感染・炎症の制御が重要であることを示唆する.
治療のポイント
(小児滲出性中耳炎)
・3か月以内に自然治癒することが多い疾患であることを念頭におき,治療方針を検討する.
・特に小児では周辺器官(鼻副鼻腔・上咽頭)の炎症が関与していることが多いため,その治療も検討する.
・保存的治療で改善せずに難聴が継続する場合や,鼓膜の病的変化(陥凹・癒着や菲薄化など)が出現した場合,鼓膜換気チューブ留置術を検討する.
(成人例)
・青年~成人では,上咽頭血管線維腫や上咽頭癌などの関与がないかを念頭におく.
・成人喘息患者では好酸球中耳炎を疑い,診断および治療を検討する.
◆病態と診断
A病態
・急性炎症を伴わず,すなわち耳痛や発熱を伴わずに中耳貯留液を認める状態である.伝音難聴の程度は軽度から中等度までさまざまである.
・乳幼児では急性中耳炎後にみられることが多く,発症に関与している.
・小児では鼻副鼻腔炎,アレルギー性鼻炎,アデノイド増殖症を合併している割合が高い.経耳管感染やアレルギー反応などが直接的・間接的に関与していると考えられている.
・耳管機能の障害(耳管狭窄および耳管開放症)も,発症および難治化に関与している.成人に比べ,小児の耳管はより短く水平に近い角度で機能的にも未熟であるため,中耳の換気機