診療支援
治療

上咽頭癌
nasopharyngeal carcinoma(NPC)
三澤 清
(浜松医科大学教授・耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)

頻度 あまりみない

GL頭頸部癌診療ガイドライン2022年版

ニュートピックス

・「頭頸部癌診療ガイドライン2022年版」では,上咽頭癌の放射線治療において強度変調放射線治療(IMRT:intensity modulated radiation therapy)を行うよう強く推奨している.

治療のポイント

・頸部リンパ節腫脹,成人の滲出性中耳炎,眼球運動障害などが初発症状のことが多い.

・腫瘍は放射線,化学療法に高感受性であるため,化学放射線治療が基本となる.

◆病態と診断

A病態

EBウイルスが関与する未分化な腫瘍である.

・上咽頭癌は放射線感受性が高いこと,解剖学的に手術が困難である特徴がある.

・上咽頭癌には発症率が高い中国南部などのendemic地域とそれ以外のnon-endemic地域がある.日本はnon-endemic地域である.

・endemic地域では非角化型が多く,non-endemic地域では角化型が比較的多く,喫煙・飲酒などの環境因子との関連が示唆される.

B診断

・内視鏡検査,画像検査および生検を行う.

・画像評価として,CTは頭蓋底骨浸潤の評価,MRIは頭蓋内,頸部組織浸潤の評価に重要である.FDG-PETで頸部リンパ節転移や遠隔転移を評価する.

・病理学的検査において,EBウイルス検出のためEBERs(EB virus-encoded small RNAs)に対するin situ hybridization法が有用である.

◆治療方針

 上咽頭癌の全生存率においてIMRTの優位性が示され,2022年度版ガイドラインでは放射線治療としてはIMRTを行うことが強く推奨されている.詳細は日本頭頸部癌学会の「頭頸部癌診療ガイドライン2022年版」を参照されたい.

A放射線療法

 早期例(Stage Ⅰ)に対して放射線単独療法が行われる.放射線照射の方法は唾液腺障害,晩期有害事象を回避するため

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