診療支援
治療

高度難聴(補聴器,人工内耳)
severe to profound hearing loss(hearing aid,cochlear implant)
山本典生
(神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院・耳鼻咽喉科部長)

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治療のポイント

・純音聴力検査と語音弁別検査の双方を用いて評価を行う.

・治療開始前後に耳鼻咽喉科医による外耳,中耳の疾患の有無の評価が重要である.

・高度難聴の補聴器装用効果は個人差が大きく,補聴器適合検査で装用効果を確認しながら調整を行う必要がある.

・補聴器装用効果が十分でない場合は,人工内耳装用を検討する.

◆病態と診断

A病態

・高度難聴は平均純音聴力閾値が70dB以上の状態を指す.

・難聴は外耳,中耳が障害される伝音難聴,内耳,中枢聴覚路が障害される感音難聴,両者の要素を含む混合性難聴に分類され,いずれも高度難聴になりうる.

・伝音難聴には,慢性中耳炎,真珠腫性中耳炎,耳硬化症,中耳奇形,外耳道閉鎖症などがある.病変が内耳に及ぶ場合,感音難聴も生じて混合性難聴となる.

・感音難聴は,内耳障害を認める内耳性難聴と,聴神経や聴皮質を含む中枢聴覚路障害を認める後迷路性難聴(聴神経腫瘍,皮質聾など)とに分類される.

・内耳性難聴には,加齢性難聴,メニエール病,突発性難聴,音響外傷,騒音性難聴,薬剤性難聴,内耳炎,ウイルス性難聴,多くの遺伝性難聴などがある.

B診断

・成人では,純音聴力検査で難聴の種類,程度を診断し,語音弁別検査により,最高語音明瞭度を求め,補聴器装用の効果の予測や人工内耳適応の決定を行う.

・小児では,自覚的検査(遊戯聴力検査や条件詮索反応聴力検査)に加えて,他覚的検査(聴性脳幹反応検査,聴性定常反応検査,耳音響放射検査など)を行い,正確に難聴の程度を診断する.

・CTやMRIなどの画像検査で,外耳,中耳,内耳の形態や脳・神経の状態を確認し,難聴の原因を精査する.

・先天性高度難聴の原因としてさまざまな遺伝子変異が報告されている.本邦では保険診療で血液サンプルを用いた難聴原因遺伝子変異(現在は50遺伝子1,135バリアント)の検査が可能で,将来的な聴力の変化など臨床経過

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