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◆病態と診断
・われわれの身体平衡は,内耳前庭迷路由来の平衡覚,視覚および体性感覚入力を中枢神経系で統合処理し,外眼筋,四肢体幹および自律神経系に出力することで維持されている.また,中枢神経系に入力された情報により空間識が形成される.空間識は情動系の影響を受ける.
・このような複雑な身体平衡維持機構に破綻が生じた際の症状がめまい,平衡障害である.したがって,その病巣・病態・病因は多岐にわたる.そのため,診断にあたっては,身体平衡維持システム全体の評価が必要となるが,検査上特に重要であるのは,眼振を含む眼球運動の評価と,姿勢や歩行の障害として現れる身体平衡障害の評価である.さらに問診で得られた情報を加えて病巣・病態・病因の診断がなされる.
◆治療方針
めまい,平衡障害の治療は,急性期治療と発作間欠期・慢性期治療に大別される.急性期治療は不快な自覚症状の改善が主たる目的であり,発作間欠