治療のポイント
・喉頭摘出により音声機能は喪失し,嗅覚や肺機能も低下するため,音声リハビリテーションのみならず,呼吸器や嗅覚リハビリテーションも重要となる.
◆病態と診断
・喉頭全摘術は,進行した頭頸部癌(喉頭癌,下咽頭癌など)や高度の嚥下障害患者に対して行われる.
・気管は頸部の皮膚に縫合され,永久気管口が作製される.気管(気道)と食道(食物路)は完全に分離される.
・発声機能の喪失,気道の加湿や加温機能の喪失,浄化機能の低下,嗅覚機能の低下が生じるため,音声・呼吸器・嗅覚リハビリテーションを要する.また日常生活の工夫や福祉サービスの利用なども重要となる.
◆治療方針
A音声リハビリテーション
喉頭摘出後の代用音声には大きく分けて3つの方法があり,個々の患者に適した方法を指導する.
1.電気式人工喉頭
ボタンを押すと振動する器具を頸部に押し当てることで,振動が口腔に伝わり,話したい言葉に合わせて口を動か