診療支援
治療

歯周病(歯肉炎,歯周炎,咬合性外傷)
periodontal diseases(gingivitis,periodontitis,occlusal trauma)
三谷章雄
(愛知学院大学歯学部教授・歯周病学)

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GL歯周治療のガイドライン2022

ニュートピックス

・「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針2022)において,これまで実施されてきた歯科健診でカバーできていなかった大学生,妊産婦なども含め“生涯を通じた歯科健診(国民皆歯科健診)の具体的な検討”が盛り込まれたことで,将来的に日本人の歯周病罹患率が低減されることが期待される.

治療のポイント

・歯周病と全身性疾患は密接に関連するケースが多く,全身性疾患を管理するうえで歯周治療が重要となる.

・歯周治療によりHbA1cは0.43%低下できる(コクランレビュー)ため,糖尿病患者に対して歯周治療が勧められる(グレードB).

・Ca拮抗薬などによる薬物性歯肉増殖症が疑われる場合や,ビスホスホネート(BP)製剤・抗RANKL抗体製剤投与患者に歯周外科治療が必要な際に,歯科医から主治医へ薬剤変更/中断の可否について問い合わせる.

◆病態と診断

A病態

・歯周病のなかでも,細菌感染が主因となる歯肉炎や歯周炎は,歯周ポケットに存在するプラーク中の歯周病原細菌による慢性炎症であり,自覚症状はほぼない.初期段階では,炎症が歯肉に限局した「歯肉炎」であるが,炎症が深部歯周組織(セメント質,歯根膜,歯槽骨)に波及し,上皮性付着部が破壊(歯と歯肉の付着の喪失)され,歯槽骨(歯を支える骨)も吸収されはじめ「歯周炎」へと進行する.歯肉炎は,健康な状態に回復することができるが,歯周炎は治療を行っても,吸収した歯槽骨などを健康な状態に回復することは困難である.

・歯周病のなかでも,咬合性外傷とは,1~数歯にのみ過度な咬合力や側方力が繰り返し加わり,歯根膜(歯周靭帯)部に慢性炎症を引き起こす傷害である.患歯の歯槽骨は吸収され,歯の動揺を呈するが,(細菌感染が加わらなければ)歯周ポケットの形成は認めない.

B診断

・歯周組織検査〔歯周ポケット深さ(炎症の程

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