診療支援
治療

歯の欠損と補綴,インプラント
prosthetics and dental implants for tooth loss
黒瀬基尋
(医療法人さくら会・理事長(愛知))

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GL口腔インプラント治療指針2020

GL歯の欠損の補綴歯科診療ガイドライン2008

GL歯の欠損の補綴歯科診療ガイドライン追補版(2012)

治療のポイント

・患者がどのような状況で欠損状態となったのかを見極めたうえで,適切な処置をする必要がある.

◆病態と診断

A病態

・本来あるべき歯が欠損(先天性または後天性)している状態で,歯を失う主な原因としては歯周病,齲蝕,破折,外傷などが挙げられる.

・歯の欠損によるリスクとしては,審美的不良,咀嚼運動障害,発音障害,残存歯の傾斜,対合歯の挺出などが挙げられる.

・欠損を長期間放置することにより,咬合位の変化(すれ違い咬合や,大臼歯部の咬合の喪失などによる前歯部のフレアアウトなど)をきたしてしまうと治療はより複雑化し,また長期間となるため,いかに早い段階で治療を進めていけるかが重要である.

B診断

・患者の訴える障害(疼痛,機能障害など)を把握するために,医療面接,口腔内の診察および各種検査,X線撮影などを行い,得られたデータから患者の現在の病態を適切に判断しなければならない.

◆治療方針

 なぜ補綴治療が必要なのかを的確に伝えるとともに,患者の要望,治療法のエビデンス,歯科医師としての見解を合わせたうえで治療方針を決定しなければならない.

 欠損を回復する方法としては,固定性補綴装置(ブリッジ),可撤性補綴装置(有床義歯),インプラント補綴の3つがある.それぞれの治療法の利点,欠点を的確に伝えたうえで治療法を確定していく.

A固定性補綴装置(ブリッジ,橋義歯)

 ブリッジとは1歯から数歯にわたり欠損している場合に,欠損した場所の両隣の歯を削合し橋を架けるように製作された補綴装置のことをいう.咬合力の負担は全面的に残存歯で支持される歯牙支持となる.

 有床義歯と比べると咬合力,違和感の少なさ,使用する材料によっては審美性の回復にも優れている.ただ

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