診療支援
治療

不正咬合
malocclusion
佐藤 昌
(総合病院土浦協同病院・歯科口腔外科部長(茨城))

GL矯正歯科診療のガイドライン 上顎前突編(2014)

GL矯正歯科治療の診療ガイドライン 成長期の骨格性下顎前突編(2020)

GL歯科矯正用アンカースクリューガイドライン第2版(2018)

治療のポイント

・不正咬合は審美性の問題だけでなく摂食・咀嚼・嚥下・発音・呼吸などの口腔機能に影響し,齲蝕・歯周病などの疾患を引き起こす要因にもなる.

◆病態と診断

A病態

・歯の咬み合わせを咬合と呼び,八重歯を含むがたがたの歯並び(叢生)や咬み合わせが悪いことを総じて不正咬合あるいは咬合異常とよんでいる.

・分類として,①前後的な問題:上顎前突(出っ歯)・下顎前突(受け口),②垂直的な問題:開咬(上下の歯が咬み合わない状態),過蓋咬合(下の歯が上の歯に隠れる状態),③水平的な問題:交叉咬合に大別できるが,複合することも多い.

・原因は口唇口蓋裂などの先天的原因(症候群も含む)により発生する場合と,炎症・外傷・腫瘍・内分泌異常・悪習癖(指しゃぶりなど)・機能異常(口唇や舌)などの後天的原因により発生する場合があるとされる.

・上顎骨ならびに下顎骨あるいはそれら両者の大きさや形態,位置などの異常や上下顎間関係の異常などによって,顎顔面の形態的異常と咬合の異常をきたし美的不調和を示すものは顎変形症と定義され,顎矯正手術が必要になる.

B診断

・不正咬合は,①上下顎骨のそれぞれの大きさや位置(骨格性),②歯の大きさ,数,顎骨の中での位置(歯性),③下顎の咬合位置(機能性)の3つの要因から成り立っている.

・顔面・口腔内写真,頭部X線規格画像(セファログラム),パノラマX線画像,歯列模型などをもとに上下顎骨や歯の形態,咬合位置などを検査し,必要に応じCT,MRI,顎運動検査,筋機能検査なども行う.

・上記の検査・診査を行うことで,どの要因によるかを診断する.

◆治療方針

 不正咬合は患者ごとに異なり,「どの歯をどこに移動し

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