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GL顎変形症診療ガイドライン(2008)
ニュートピックス
・日本顎変形症学会編集の「顎変形症治療の基礎知識」が2022年に刊行され,同学会による認定医制度が2023年から開始された.
・実物大臓器立体モデルや3D画像による手術シミュレーション,手術支援ガイドの使用,ナビゲーションが臨床応用されている.
治療のポイント
・矯正歯科治療による歯列の改善だけでは解決しない,口腔顎顔面の異常が治療対象.
・形態的な異常だけではなく,口腔機能の異常を併発している場合が多い.
・治療の成功には歯科矯正医と口腔外科医または形成外科医との緊密な連携が必要.
◆病態と診断
A病態
・顎変形症は,一般的に上顎骨または下顎骨(あるいはそれら両者)の大きさや形態,位置などの異常や上下顎間関係の異常などによって,顎顔面の形態的異常と咬合の異常をきたし,美的不調和を示すものと定義される.
・成因としては先天的および後天的要因があるが,多くは顎発育異常と遺伝的背景によって生じる.
・変形の部位や上下顎骨の3次元的な位置関係から,①前後的不調和:上顎前突症・後退症,下顎前突症・後退症,②垂直的不調和:開咬症,③水平的不調和:顔面非対称,④上記の複合的不調和,その他オトガイ劣成長などに分類される.
・顎変形症による機能的異常としては,咀嚼障害,嚥下障害,発音障害,呼吸障害(睡眠時無呼吸を含む)が挙げられる.
B診断
・頭部X線規格写真分析によって顎顔面骨格の評価を行い,形態的な特徴と経年的な変化を観察する.各種分析方法があり,手術対象年齢の標準値と比較して病態を把握し,治療計画を立案,治療に伴う変化を評価する.
・歯列の術後予測模型を作製し,術直前・術後の咬合状態の確認を行う.口腔・顔面写真を撮影して保存し,正貌・側貌の軟組織評価を行う.
・顎関節部X線撮影,必要に応じてCT・MRIを用いて顎関節の評価を行う.下顎頭の過