頻度 よくみる
治療のポイント
・歯の破折では,破折の部位や深さ,歯の神経(歯髄組織)が露出しているかを正確に診断することが必要である.
・顎骨骨折では,口腔内および周囲組織損傷に伴う腫脹・出血や骨片の偏位による気道閉塞には厳重な注意を要する.緊急気道確保が必要になることもある.
・脱臼歯は,再植できる可能性もあるので,汚染や乾燥に注意し医療機関をすみやかに受診してもらう.
・顎顔面骨折では,審美的な改善のみならず,咬み合わせ(咬合)の回復も重要な治療目標である.
◆病態と診断
A病態
・1~2歳児の転倒に伴う歯の損傷,学童期での歯の外傷の頻度は高い.顎顔面骨折の原因は交通事故が多く,20代の若年者に多い.その他の原因としては転倒や転落,スポーツ,作業事故,喧嘩による殴打などがあり,生理機能が低下する老年期では転倒の割合が増加する.
・顔面骨では,下顎骨の骨折の頻度が高い.外力が加わった部位での直達骨折,ま