診療支援
治療

口腔金属アレルギー
dental metal allergy
岡本俊宏
(東京女子医科大学教授・顎口腔外科学)

治療のポイント

・さまざまな難治性の口腔内病変の重症度を把握し,口腔金属アレルギーが疑われる場合は,皮膚科または歯科金属アレルギー外来での金属アレルギー検査(パッチテスト)を行う.

・口腔内にあるアレルギー原因金属が特定できれば,それを除去する.

・原因金属の冠を除去しても症状改善には時間を要し,完全に症状が消失しないことがある.

◆病態と診断

A病態

・口腔金属アレルギーは主に,口腔内で使用されている約20種類以上の歯科金属,合金から口腔内の過酷な環境下で金属イオンが溶出することによって起こる.

・口腔金属アレルギーの患者の一部では,口腔粘膜や消化管から微量歯科金属が体内に吸収され,さまざまな全身症状が惹起される.

B診断

・口腔扁平苔癬,口角炎,口唇炎,口内炎,歯肉炎や舌炎などの口腔内病変,臨床像(難治性または歯科金属に接した部位での病変など)の診察.

・掌蹠膿疱症,湿疹,水疱,接触性皮膚炎などの全身症状の有無の確認.

・口腔金属アレルギーが疑わしい場合は,皮膚科または歯科金属アレルギー外来で金属アレルギー検査(パッチテスト)を行う.

◆治療方針

 全身症状を含め皮膚科と密な連携を行い,口腔内にあるアレルギー原因金属が特定できれば,その金属を除去する.

 2016年4月より金属アレルギーと診断された場合,すべての大臼歯に非金属であるCAD/CAM冠が保険適用となった.

 歯科金属に含まれるニッケル,クロム,コバルトなどはチョコレート,ココア,コーヒー,お茶や豆類などにも多く含まれ,その摂取の制限により症状が改善することがある.

Px処方例 下記を併用する.

 トリアムシノロンアセトニド(オルテクサー)口腔用軟膏 1日1~数回 適量を塗布

 アズレンスルホン酸(ハチアズレ)含嗽用顆粒(2g/包) 通常1回1包を適量(約100mL)の水または微温湯に溶解し,1日数回 含嗽.なお症状により適宜増減

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