診療支援
治療

口腔機能発達不全症
oral dysfunction
佐久間千里
(愛知学院大学歯学部附属病院・口唇口蓋裂センター)

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ニュートピックス

・2018年度より公的医療保険の対象となった疾患で,保険診療での治療が可能になった.

治療のポイント

・患児の年齢や成長発達を考慮し,必要に応じて検査や訓練を行う.

・日常的な口腔習癖や口腔機能発達に影響しやすい耳鼻咽喉科疾患の罹患状況など,保護者への問診も重要となる.

◆病態と診断

A病態

・口腔機能発達不全症は,先天性の摂食機能障害の原因疾患がないにもかかわらず,「食べる機能」,「話す機能」,「その他の機能」が十分に発達していないか,正常に機能獲得できておらず,口腔機能の定型発達のために個人因子あるいは環境因子に対して歯科や耳鼻咽喉科などの専門的な支援が必要な状態である.

・口腔機能の発達に異常があると,歯列不正や不正咬合を生じるだけでなく,嚥下機能や呼吸にも悪影響を及ぼしたり,さらには成人期以降の健康づくりにも影響を与える可能性がある.

B診断

・日本歯科医学会が定めるチェックリストの「食べる機能」,「話す機能」の項目において2つ以上の該当項目があるものを「口腔機能発達不全症」と診断する.なお,「離乳完了前」「離乳完了後」のチェックリストがあり,患児の成長に応じてチェックリストに従って診断する.

・「離乳完了後」においては,口唇閉鎖不全の検査として,口唇閉鎖力測定器を用いて口唇閉鎖力を測定し,年齢・性別に応じた標準値()と比較して評価する.さらに,安静時や摂食時の口唇閉鎖不全状態や口呼吸の所見を有する場合,口唇閉鎖力は不足していると診断する.

◆治療方針

A管理計画の立案

 口腔機能発達不全症の検査・診断をふまえ,機能発達不全を認めた項目に対する生活指導内容やトレーニング方法について最も適していると考えられる管理計画を立案する.

B患者との情報共有

 口腔機能発達不全症の治療・改善には,患者本人や保護者の理解が重要となる.正常な機能発達についての情報を提供し,患者

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