A社会の動向
1.国民の意識と在宅医療の提供体制
わが国の人口は,2005年以降減少局面に突入している.その一方で,2022年時点において1,937万人(15.5%)である後期高齢者数は,2030年には2,288万人(19.2%)に増加すると予測されている.日本財団が行った人生の最期の迎え方に関する全国調査(2020年)によれば,最後を迎えたい居場所について,高齢者の58.8%が「自宅」を希望している.財政論的な要請ではなく,国をあげて在宅医療を推進することが高齢者の希望実現につながるのなら喜ばしいことである.
在宅医療の提供体制構築に関して,担い手である在宅医や訪問看護師を増やすことが,現在でも重要なテーマであり続けている.訪問看護ステーションについては2012年以降増加傾向にあり,2023年4月時点で15,697か所となっている.訪問看護に従事する看護職員数(常勤換算)は,27,491人