診療支援
治療

フレイル/サルコペニア
frailty and sarcopenia
藤原 大
(宮城厚生協会坂総合病院・リハビリテーション科診療部長)

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GLサルコペニア診療ガイドライン2017年版 一部改訂

治療のポイント

・フレイル/サルコペニアの多面的な要素や要因に対応するためには,リハビリテーション(以下,リハ)栄養の考え方が有用であり,多職種連携によって多角的に取り組むことが求められる.

・栄養と運動・リハの両側面から介入することが重要であり,合わせて薬物療法も考慮する.

・在宅においては,対象者と生活の場である地域とのつながりを処方する「社会的処方」の視点も重要である.

◆病態と診断

A病態

・フレイル(frailty)は「加齢とともに心身の活力が低下し,複数の慢性疾患の併存などの影響もあり,生活機能が障害され,心身の脆弱性が出現した状態であるが,一方で適切な介入・支援により,生活機能の維持向上が可能な状態像」と定義される.

・サルコペニア(sarcopenia)は「骨格筋量および筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群で,身体機能障害,QOL低下,死などの有害な転帰のリスクを伴うもの」と定義される.

・アジアの地域住民(50歳以上)におけるフレイル有病率は11%,日本の地域住民(60歳以上)におけるサルコペニア有病率は8.2%(男性8.5%・女性8.0%)とされており,その割合は加齢とともに上昇する.

B診断

・フレイルの診断には,改訂日本版フレイル基準(J-CHS基準)(体重減少・筋力低下・疲労感・歩行速度低下・身体活動低下の5項目の評価基準のうち3項目以上該当でフレイルと診断)を用いる.身体計測が難しい環境においては,質問を中心に構成されたフレイルの「簡易チェック」が有用である.「簡易チェック」は,ふくらはぎの太さを確認する「指輪っかテスト」と身体的・精神的・社会的側面を評価できる11の質問からなる「イレブンチェック」で構成されている.

・サルコペニアの診断には,Asian Working Group fo

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