診療支援
治療

低栄養への対策
management of under nutrition
藤原 大
(宮城厚生協会坂総合病院・リハビリテーション科診療部長)

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治療のポイント

・多岐にわたる低栄養の要因を考慮したうえで,多職種による多面的な介入が重要である.

・特に高齢者では,処方されている薬剤が低栄養の要因になっている可能性を考慮して,薬剤変更や中止を積極的に検討する.

・薬剤や経口的栄養補助(ONS:oral nutrition supplements)の処方にとどまらず,診療する地域で提供可能な各種サービスを熟知し,利用を積極的に働きかけることが重要である.

◆病態と診断

A病態

・成人における低栄養は「体組成の変化(除脂肪量の減少)および身体細胞量の減少につながる栄養の欠乏または摂取不足に起因する状態により,肉体的および精神的機能が低下し,病態による臨床転帰が損なわれること」と定義される.

・65歳以上で低栄養傾向(BMI≦20)にある人の割合は男性12.4%,女性20.7%であり,加齢に伴ってそのリスクは高くなる(「令和元年度 国民健康・栄養調査結果の概要」より).

・居住・療養環境別にみると,地域在住5.8%,介護施設入所13.8%,病院入院38.7%,リハビリテーション施設入所50.5%に低栄養を認める(J Am Geriatr Soc 58:1734-1738,2010).

B診断

・高齢者における低栄養の診断にはGLIM(Global Leadership Initiative on Malnutrition)基準を用いる.

・低栄養リスクのスクリーニングは,妥当性の検証されたツールを使用する.外来や在宅では,質問形式になっているMNA-SF(Mini Nutritional Assessment-Short Form)が使いやすい.

・GLIM基準では,「現症」(意図しない体重減少低BMI筋肉量減少)と「病因」(食事量減少または消化吸収能低下,疾患による負荷/炎症の程度)の両方で1項目以上が基準に該当する場合に低栄養

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