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ニュートピックス
・口腔内細菌の著しい増加により口腔内バイオフィルム感染症を経て,予後の悪化やQOLの低下を引き起こす.口腔内の細菌数を把握する口腔細菌定量検査が,2022年より主に在宅診療において歯科診療報酬で算定可能となった.
・口腔機能発達不全症では18歳未満が,口腔機能低下症では50歳以上が,口腔機能管理の対象となった.
治療のポイント
・口腔や嚥下機能の障害は,誤嚥性肺炎,フレイル,サルコペニアなどの全身的な問題に直結する.
・多職種が関わり,口腔内の状況や食事内容を把握し情報共有することが重要である.
・発達段階にある小児では,機能発達を評価し訓練をしていく.成人や高齢者では機能低下を評価し,回復・維持を目的にリハビリテーションを行う.
・終末期は,患者や家族に寄り添い可能な限り経口摂取ができるように支援していく.
◆病態と診断
A口腔機能
1.小児:口腔機能発達不全症
・摂食機能障害の原因疾患がなく,「食べる機能」,「話す機能」,「口腔過敏や栄養,呼吸などの機能」が十分に発達していないか,機能獲得ができていない状態.
・離乳完了前と離乳完了後で評価項目が異なり,食事や哺乳,咀嚼の状況,構音などを評価し診断する.
2.成人,高齢者:口腔機能低下症
・加齢・疾患・障害・薬剤などの要因によって,口腔機能が複合的に低下している状態.放置すると全身的な健康を損なう.口腔衛生状態不良,口腔乾燥,咬合力低下,舌口唇運動機能低下,低舌圧,咀嚼機能低下,嚥下機能低下のうち3 項目以上該当する場合に口腔機能低下症と診断する.
B嚥下機能:摂食嚥下障害
・小児では,先天的または発達期における後天的疾患や外傷などにより,摂食嚥下機能の獲得そのものが阻害され生じる.成人では,加齢や認知症,脳血管障害,パーキンソン病などの神経系疾患,頭頸部癌などの器質的疾患,薬剤などのさまざまな影響で摂食嚥下機能が低下し