ニュートピックス
・コロナ禍では多くの病院で入院患者への面会制限が設けられ,特に終末期の患者にとって,それは在宅療養を希望する要因となった.病状が不安定であったり,家族の介護力が乏しかったりして,コロナ禍以前であれば病院で看取られていたであろう患者が在宅に移行し,看取りを行う在宅医へのニーズも高まっている.
A終末期
在宅患者がたどる軌道は,導入期,安定期,急性増悪期,終末期に分けることができるが,本項では終末期における医師の役割を考える.それは,患者が苦痛なく生ききること,家族が悔いのないよう患者を支えきることの支援である.
終末期の迎え方は,患者や病態ごとに異なる.慢性疾患のように,年単位の安定期ののちに終末期を迎える場合,増悪と寛解をともに乗り越えてきたことにより,患者(家族)-医師関係が構築されていることが多い.一方で悪性疾患のなかには,病院での積極的加療の適応が乏しくなり在宅緩和ケア