診療支援
治療

慢性呼吸不全患者のケア
care for chronic respiratory failure patients
津田 徹
(恵友会霧ケ丘つだ病院・院長(福岡))

GL非がん性呼吸器疾患緩和ケア指針2021

GL呼吸器疾患患者のセルフマネジメント支援マニュアル(2022)

GL在宅診療における非がん性呼吸器疾患・呼吸器症状の緩和ケア指針(2022)

治療のポイント

・慢性呼吸不全をきたしている基礎疾患を特定し,併存症の有無を確認する.

・薬物療法は,COPDであれば,内服薬ではなく吸入薬が主体となる.

・呼吸リハビリテーションは在宅酸素療法(HOT:home oxygen therapy)導入までに開始する.

・栄養療法:サルコペニアの合併が多く,%IBW(理想体重比)90%,BMI 19を切る前に開始する.

・社会的支援:呼吸器機能障害,指定難病,要介護認定,職業性肺疾患であれば労災申請が必須となる.

・上記ができなければ,専門医療機関に紹介,連携を行う.

◆病態と診断

・慢性呼吸不全とは,動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下の状態が1か月以上持続する状態であり,PaCO2 が45Torr以下のものをⅠ型呼吸不全,PaCO2 が45Torrを超えるものをⅡ型呼吸不全とよぶ.

・基礎疾患には,COPD,陳旧性肺結核,間質性肺炎,気管支拡張症,びまん性汎細気管支炎,非定型抗酸菌症,膿胸,職業性肺疾患(じん肺など),肺癌手術などによる肺機能低下症例がある.

・COPDでは低酸素血症が呼吸困難の原因ではなく,酸素流量を上げても改善しないことが多く,動的過膨張により呼出ができないためであることを念頭におく.

・呼吸不全による臓器障害

1)中枢神経:精神活動低下,集中力の低下,抑うつ.

2)循環器:右心系への負担による肺性心.

3)血液:低酸素を代償するため多血症,または,栄養障害を伴うと貧血となる.

4)筋肉:慢性炎症による筋力低下,呼吸困難による栄養摂取不足,呼吸にエネルギーを要するためサルコペニアをきたす.

◆治療方針

A薬物療法

 吸入薬選択が第1のポイントである.在宅

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