診療支援
治療

医療的ケア児とその家族へのケア
caring for children with special healthcare needs and their families
一ノ瀬英史
(いちのせファミリークリニック・院長(福岡))

ニュートピックス

・医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法):2021年9月に施行され,医療・保健・福祉・教育・労働などの機関や民間団体が連携し,医療的ケア児が全国のどこに住んでいても適切なサービスを切れ目なく受けられるようにすることを目的としている.支援を国や自治体の責務とした点が画期的であるが,相談事業や実際のサービスを拡充していく必要がある.

A医療的ケア児とは

 先天性の疾患や小児期発症疾患の治療・慢性期生活において,生命維持のために人工呼吸器や胃瘻栄養,痰の吸引などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことである.全国推計値で約2万人(0~19歳)といわれており,年々増加している.必要な医療的ケアとしては経管栄養(経鼻・胃瘻・腸瘻),痰の吸引,気管内挿管・気管切開,ネブライザーが多くを占め,生命にかかわるものが多いことがわかる.

B家族の負担

 医療的ケアには生命にかかわるものが多いため,その負担感や時間的拘束なども非常に大きい.しかも,「医療的ケア児者とその家族の生活実態調査報告書」では,主介護者の37.6%が,自分以外にケアを担当できる者がいないと回答しており,主介護者の40.8%が,医療的ケア児から5分以上目が離せないと回答している.そのため,家族が抱える生活上の悩みや不安として,「慢性的な睡眠不足」が最も多く,次いで「いつまで続くかわからない日々への強い不安」や「自らの体調悪化時に医療機関を受診できない」といった悩みが続いており,介護者の負担は非常に大きい.

C多職種連携,地域連携

 医療的ケア児を支えるためには主介護者をいかにサポートできるかが鍵である.サポートには,各種制度を十分に理解して,地域の状況と経済的・時間的な調整を行いながら進めていくことになる.

D訪問看護ステーション

 医療的ケアを直接的に支える要となる存在である.医師による訪問看

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