診療支援
治療

訪問看護師との協働
collaboration with visiting nurses
一戸由美子
(むさしの丘ファミリークリニック・院長(東京))

ポイント

・訪問看護の役割・機能を把握し的確な指示を出す.

・良好なコミュニケーションと情報共有.

・多職種連携について理解を深める.

 在宅で療養する患者は,寝たきりの高齢者ばかりでなく,小児,難病や精神疾患の患者など多様化している.また,独居,認知症夫婦世帯に加え,精神疾患や持病を抱える介護者やヤングケアラーの増加,そしてネグレクト・不適切介護問題,経済的困窮,社会的孤立など家族・社会の背景も複雑化しており,地域の多職種との連携・協働が必須である.とりわけ訪問看護師との協働は,患者・家族のQOL向上と診療の質向上に大きな影響を与えるため,多職種連携を基盤とする在宅医療そして地域包括ケアの要となる.

A訪問看護の役割・機能の把握と的確な指示

1.訪問看護の役割・機能

 訪問看護は,主治医と連携を密にし,健康状態のアセスメント,日常生活や心理的な支援,家族・介護者の相談・助言,医療的処置・ケア,関連機関との連絡・調整に至るまで,患者がその人らしく療養生活を送れるよう幅広い支援と調整を行う.

 訪問看護師は医師よりも患者や家族と接する時間が長いため,利用者の医療に対する意向や家族の思いをより深く理解・把握することができる.そのため医師と利用者の橋渡し的役割を果たすことが多く,在宅医の心強い支援者となる.患者・家族の意思決定を支援する場面では,訪問看護の役割・機能を十分理解し,報告に耳を傾け,情報共有を密にすることが診療の質の向上につながる.

2.訪問看護師への適切な指示

 訪問看護事業所は,医師の指示内容に基づいた看護・ケア・処置・指導管理などの看護サービスを提供する.指示を出す医師は,病状はもとより在宅生活上の困りごとなどを十分に把握し,疾病管理のみならず,療養管理に必要な指示を出すことがポイントである.訪問看護師は患者・家族をアセスメントし,ケア・処置を行い,その結果を報告書にまとめ定期的に

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