診療支援
治療

薬剤師との協働
collaboration with pharmacist
古賀友之
(のぞみの花クリニック・理事長(千葉))

A薬剤師の役割

 在宅医療を支える薬剤師は主に各地域の保険薬局薬剤師(以下,薬局薬剤師)である.薬剤師法第25条の2によると薬剤師は「調剤した薬剤の適正な使用のため,患者又は現にその看護に当たっている者に対し,必要な情報を提供し,及び必要な薬学的知見に基づく指導をする」だけでなく,「必要があると認める場合には,患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握する」ことが義務づけられている.言い換えれば,薬を渡すときに「必要な情報を提供し,適切な指導を行う」ことは当然の義務であるが,「継続的に状況を把握してフォローアップする必要があると薬剤師が判断した場合は,実際にそれを行う」ことも義務なのである.

 さらに令和4(2022)年度調剤報酬改定では,地域医療に貢献する保険薬局を評価する地域支援体制加算の見直しが行われた.その算定には多職種会議への参加が要件の1つとされている.

 このように,薬局薬剤師は薬局窓口で処方された薬を調剤するだけでなく,帰宅後の患者ともかかわり,地域にも目を向ける存在として,在宅医療チームの一員になることを期待されている.

B薬剤師協働の意義と課題

 医師が適切な薬剤を処方しても,正しく使われなければ効果は得られない.薬剤師は医師が新たな薬剤を処方した際,薬剤が使用されたあとの効果判定方法や副作用情報を各職種に発信できる.看護職や介護職から「内服しにくいから処方通り飲んでいない」と情報提供があった場合,薬剤師は医師へ剤形変更(内用液や貼付剤への変更)や一包化を提案し,内服アドヒアランスを上げることができる.また,在宅では軟膏が適切に塗布されない場合や,点眼薬の投与方法が誤っていることは意外に多い.薬剤師から本人・家族とともに看護職や介護職に使用方法をアドバイスすることは,症状改善に有効である.このように薬剤師は薬剤知識をもつ専門職として各職種から信頼される相談相

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