診療支援
治療

ケアマネジャー(介護支援専門員)との協働
collaboration with care manager
小宮山学
(ありがとうみんなファミリークリニック平塚・院長(神奈川))

Aケアマネジャーの役割と協働の必要性

 ケアマネジャー(介護支援専門員)は,介護保険のもと要介護者や要支援者の援助について専門的な知識・技術を有する専門職である.利用者の心身の状況,環境,希望に応じてケアプラン(介護サービス提供計画)を作成し,医療福祉職・市町村・事業者・施設などとの連絡や調整を行う.保健医療福祉分野の実務経験が5年以上ある者が試験・研修などを経て資格を取得できる.主に居宅介護支援事業所,地域包括支援センター,高齢者施設などに所属している.

 超高齢社会を迎え,複数の慢性疾患や障害を抱えて生活する高齢者が増加し,在宅の高齢者ケアや緩和ケアのニーズが増大している.医療も救命第一の治療モデルから,QOLを保ちながら生きる支援を行う生活モデルにシフトしてきている.また独居に代表される家族機能の低下や精神疾患,相対的貧困率の上昇など,社会的な多重問題も増加している.医療は生活モデルや社会的問題と不可分であり,特に高齢者の生活を支援する介護保険の中心を担うケアマネジャーと適切に協働する必要性は高い.

B協働の内容や注意点

 医師からケアマネジャーに提供する情報は,まず患者/利用者の医療面の現状を説明したうえで,特に介護面に関する注意点や,病状変化・合併症が生じた際の観察ポイントなどである.さらに,疾患や病態に応じて,中長期的な身体機能や症状がいつごろ・どのように変化するか未来予測を伝え,予測される身体機能や病状変化に応じた介護体制を準備する必要がある.また実際に患者/利用者の病状が変化した際には,医療的対応についてアドバイスや指示を行い,必要時は外来・往診で診察にあたる.緊急性が高いときは救急搬送の指示(病院との連携)も求められる.

 医師とケアマネジャーを含めた他職種との協働・連携は,単純に情報のやりとりを行うということではない.情報のやりとりを通じて各職種の意見や視点を統合

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?