ポイント
・制度上どのような施設であるか,各施設がどのような方針をとっているかを把握する.
・日常,急変時,看取りのケアのため,「入居者と家族」「居住系施設」「医療機関」の三者での話し合いが必須.
・急変時のコミュニケーションツールとしてSBARは有用.
A居住系施設の概要
1.居住系施設とは
居住系施設には介護保険4施設とその他の施設がある.介護保険4施設は「介護療養型医療施設」「介護医療院」「介護老人保健施設」「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」である.「介護医療院」は2018年に創設された.その他の施設としては「サービス付き高齢者向け住宅」「有料老人ホーム」「養護老人ホーム」「軽費老人ホーム」「認知症高齢者グループホーム」がある.制度上どのような施設であるか,それぞれの施設がどのような個別の方針をとっているかによって,どのような医療行為を行うことができるかが決まる.それを知ることなしに協働することは困難である.
B連携と協働の方針
以下,居住系施設の介護職員との連携と協働を中心に記すこととする.
1.多職種連携コンピテンシー
居住系施設の介護職員との連携・協働については,医師,看護師,介護士,事務職員を含めた多職種連携となる.医療保健福祉分野の多職種連携教育および実践における,職種を超えた共通コンピテンシーについて包括的に記載した「多職種連携コンピテンシー」が作成されている.2つのコア・ドメインとして「患者・利用者・家族・コミュニティ中心」「職種間コミュニケーション」が挙げられ,もちろん居住系施設の介護職員との連携でも最も重要な連携の要素である.それらを支え合う4つのドメインとして「職種としての役割を全うする」「関係性に働きかける」「自職種を省みる」「他職種を理解する」が挙げられている.
2.医療介護連携ガイドライン
居住系施設側が医療と介護の連携・協働においてとるべき対応とし