診療支援
治療

4.漢方の診察法
丁 宗鐵
(日本薬科大学教授・名誉学長)
菊谷健彦
(東戸塚記念病院・麻酔科部長)


 簡略に漢方の診察法を述べる.

‍ 四診 漢方医学の診断法は望診,聞診,問診,切診の四診からなる.この四診を総合して,患者の証を決定する.患者の証の診断は治療法の指示,すなわち湯液名の決定である.

 切診によって陰陽,虚実,気,血,水を判断する大きな手がかりが得られる.

‍ 切診 切診とは術者の手指を直接患者のからだに触れて診察することである.脈診と腹診が最も重要である.

‍ 脈診:脈診とは手の橈骨動脈茎状突起の内側で,その拍動,血管の性状を診ることである.

‍ 腹診:腹診は患者を仰臥させ,両膝を曲げず下肢全体を伸展させて行われる.

 代表的な腹証を解説する.

 まず腹壁が厚いか薄いかをみる.腹壁の皮下脂肪と筋肉が厚く,腹部全体に弾力のある場合は実証.逆に腹壁の皮下脂肪,筋肉ともに薄く,軟弱無力である場合は虚証である.


1)心下痞硬(しんかひこう)(図1

 心下痞硬とは心窩部がつかえる感じと同部の抵抗・

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