本項では,オンライン診療における診断手順やポイントについて解説する.
A.オンライン診療での診断行為とは
オンライン診療が従来の対面の診察とは異なる点は,相手に触れて行う聴診や触診ができないため問診と視診が主体となることと,患者が診察室ではなく,自身の職場や生活空間に存在していることである.それから初診時の根源的な患者側の不安として,自己の心身に関わる大事な対話を,初対面の,その実存を確認できていない医師と行っている,という心情についても理解しておこう.
B.まずは接続確認を
接続前に,こちらの画面構成を確認する.オンライン診療と電子カルテが同じ画面で一体化しているものも,別システムで2画面に分かれているものもあるかと思うが,いずれにせよ,登録時の患者情報や,過去の受診歴から読み取れる医療情報を確認しておく.また,医療面接の内容を電子カルテに逐次入力できるよう記載欄を開いておく.
患者に接続できたら,まずはオンライン診療に適した安全でプライバシーが保たれた場所に患者がいるか確認する.職場で声が筒抜けになっているとか,運転中の車内などは適切な診療環境とはいえない.
次に,ライティング(照明)を整える.顔色や表情が読み取れる場所に移動してもらう.このとき,特に自宅では場所により通信速度が低下することがあるため留意する.
最後に,患者がリラックスできる,生活環境のわかる場所を選ぶ.特に小児のオンライン診療の場合,プレイルームなど,患児が安心できる場所にいてもらい,親に撮影を依頼するとよい.
C.面談と問診の仕方
オンライン診療は新しい診療形態である.初めてオンライン診療を受ける患者の場合,緊張していることもあるため,最初にしっかりと自己紹介を行う.その際,名札や,日本医師会電子認証センターが発行する,医師資格証(HPKIカード)を所持していたら提示するとよい.
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