診療支援
治療

DXがもたらす医療の未来像
黒木春郎
(医療法人社団嗣業の会 こどもとおとなのクリニック パウルーム・院長)


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により,各国で双方向のビデオシステムを用いたオンライン診療の利用が進んでいる.医療従事者や患者の感染リスクや二次感染を減少するほか,COVID-19対応のための人員確保を補うための手段としての診療形態として注目・発展した.

 医療でのデジタル活用にとって,COVID-19はきわめて大きなインパクトであるものの1つの契機に過ぎず,医療へのデジタルの活用は,大きな時代の流れのなかで必然となっていた.

 背景には,人口動態や疾患構造の変化がある(図1).戦後の医療は感染症などの急性期疾患が激減し,一方で癌や循環器病などの生活習慣病が増加した.さらに最近では認知症のように高齢化に伴う障害も増加した.これらの疾患は生命を脅かすだけでなく,身体の機能や生活の質を低下させるものも多く,予防や治療においては日常生活の質の維持が重要な課題の1つとなってい

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