頻度 よくみる
治療のポイント
・循環血液量減少性ショックは,ICUにおいては敗血症ショック,心原性ショックに次いで高頻度であると報告されており,特に外傷症例では9割を出血性ショックが占めるといわれている.
・出血源の同定,適切な止血,迅速な輸血が治療の絶対的ポイントである.
◆病態と診断
A病態
・循環血液量の減少による臓器灌流血流量の低下の結果,細胞における嫌気的代謝と臓器障害を惹起し,生命維持に危険が及ぶ.
・血管内容量の急な減少に対し,自律神経系および内分泌系の調整機構により,頻脈,心筋収縮の増加,末梢血管抵抗の増加,利尿の抑制による有効循環血液量の確保,などの代償機転を惹起させ,初期には血圧が維持されている.同様に全血の喪失に対して体液移動は遅れるため,初期にはヘモグロビンの低下を認めず,診断が遅れる危険がある.
・代償機転が破綻すると血圧低下をきたし,脳血流量が確保できなければ意識レベルの変容