頻度 あまりみない
GL熱傷診療ガイドライン〔改訂第3版〕(2021)
治療のポイント
・広範囲熱傷では,熱傷創の治療とともに呼吸・循環管理などの全身管理を必要とする.このため,広範囲熱傷を疑ったらすみやかに熱傷専門施設に患者を転送することが重要である.
◆病態と診断
A病態
・熱傷では,熱で損傷した皮膚とその周囲に毛細血管の透過性亢進によって強い浮腫を生じる.広範囲熱傷ではこの浮腫は全身に及び,循環血液量減少性ショック(熱傷性ショック)となる.循環血液量を補うための大量の輸液によって内臓を含む全身の浮腫が増強し,四肢のコンパートメント症候群や肺の拘束性換気障害,腹部のコンパートメント症候群にも陥る.
・熱傷性ショックを乗り切ったあとも大量の壊死組織(焼痂)が残るため,これらを除去して創部を植皮で閉鎖するまでは常に創部からの感染の危険性がある.広範囲熱傷の患者では長期にわたり免疫力が低下するため,創部や