A原理
大動脈内バルーンパンピング(IABP)法は,バルーンカテーテルを患者の胸部下行大動脈に留置し,心電図または動脈圧波形に同期させて30~40mL(長さ約200mm)のバルーンを大動脈弁閉鎖時(拡張期開始時)に拡張し,大動脈弁開口直前(収縮期開始時)に収縮させる.拡張期圧上昇による冠動脈血流の増加と,左室の後負荷軽減がもたらされ,心筋への酸素供給の増加と,心筋の酸素需要の軽減が期待できる.
B適応
適応は急性心筋梗塞における再灌流療法前後,内科的治療の効果がない急性心不全などである.高度の不整脈や極端な頻脈では十分な補助効果が期待できないことがある.さらに,IABPそのものによる心拍出量の増加効果は10%程度しかなく,極端な血圧低下を伴うショック例などには無効である.心原性ショックにおける30日後の死亡抑制を検討したIABP-SHOCK Ⅱ trial(2012)などではIABPの有用性