電解質異常補正法 [■その他]

☆☆

correction of electrolytic imbalance

佐々木淳一

（慶應義塾大学教授・救急医学）

治療のポイント

・緊急の異常補正が必要な電解質として，Na，K，Caがある．

・けいれん重積，意識障害，新たな不整脈の出現などが認められる場合，緊急性が高く，積極的な補正が必要となる．

・原因検索と治療を並行して進める必要がある．

・低Mg血症，低K血症，低Ca血症，低P血症は同時に生じている場合も多い．この場合，Mgを補正しないと低K，低Caは改善しない．

Ⅰ．高Na血症

◆病態と診断

A病態

・血清Na値145mEq/L以上を指し，体内の総Na量に対して体内総水分量が不足している．

・原因：脱水が主であり，大量発汗，水分摂取不足，嘔吐・下痢，利尿薬使用などによる．

B症状

・軽度：全身倦怠感，口渇．

・急性（通常48時間以内）かつ重症（血清Na値160mEq/L以上）：意識障害，けいれんを認める場合がある．

◆治療方針

A細胞外液量の評価

　血漿浸透圧，細胞外液量評価，尿中Na濃度で評価する．

1）自由水欠乏量：（血

初出:今日の治療指針2025年版 発行:2025年1月

収載:医学書院 医療情報サービス（2025年4月17日　掲-ID：c25_05718-00_a001b002z0035）