頻度 あまりみない
GL寄生虫症薬物治療の手引き2020(改訂第10.2版)
◆病態と診断
A病態
・鞭虫症はヒトを宿主とする線虫のTrichuris trichiuraの回盲部寄生を原因とする寄生虫病である.
・鞭虫の虫卵は患者便に排出され,約1か月の成熟期間を経て感染性の幼虫包蔵卵となり,水・食品の汚染を介した糞口感染によりヒトに感染する(土壌伝播蠕虫).
・先進国ではきわめてまれな寄生虫病だが,世界ではいまだに6~8億人の感染が見積もられており,顧みられない熱帯病として集団駆虫などの対策がとられている.
・蔓延地域からの帰国者,また,訪日・在留外国人での輸入症例に要注意だが,国内症例もある(ニホンザルによる家庭菜園の汚染が疑われた事例など).
・少数寄生では無症候性感染となるが,多数寄生では,腹痛,嘔吐,倦怠感,出血,浮腫,さらにしぶり腹を伴った粘血便(鞭虫性赤痢),脱肛などが起こりうる.また,この