静脈血栓塞栓症（肺血栓塞栓症，深部静脈血栓症）

venous thromboembolism：VTE〔pulmonary thromboembolism（PTE），deep vein thrombosis（DVT）〕

福本義弘

（久留米大学主任教授・心臓・血管内科部門）

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ＧＬ肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断，治療，予防に関するガイドライン（2017年改訂版）

治療のポイント

・急性肺血栓塞栓症（APTE：acute pulmonary thromboembolism）ではまず血圧を確認し，循環動態破綻例では躊躇せずに経皮的心肺補助装置（PCPS：percutaneous cardio-pulmonary support）を装着する．低血圧・ショック症例では積極的な血栓溶解療法を検討する．

・APTEは致死的疾患であり，早期診断治療がきわめて重要である．

・静脈血栓症治療の基本は早期歩行・積極的な運動・抗凝固療法である．

◆病態と診断

A病態

・APTEは新鮮血栓が肺動脈を塞栓閉塞する疾患であり，その塞栓源の約9割が下肢あるいは骨盤内である．

・その主たる病態は，急速に出現する肺高血圧，右心負荷および低酸素血症である．

・APTEの初期治療は，血行動態およ

初出:今日の治療指針2025年版 発行:2025年1月

収載:医学書院 医療情報サービス（2025年4月17日　掲-ID：c25_05718-00_a006z0061）