急性肝炎

acute hepatitis

玄田拓哉

（順天堂大学医学部附属静岡病院教授・消化器内科）

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治療のポイント

・ウイルス性急性肝炎は多くの場合自然治癒する．

・まれに慢性肝炎移行例や急性肝不全（劇症肝炎）発症例が存在する．

◆病態と診断

A病態

・ウイルスの肝細胞への初感染とそれに反応する免疫反応により生じる肝細胞障害が，ウイルス性急性肝炎の病態である．

・A型，B型，C型，E型肝炎ウイルスが原因の場合が多いが，それ以外のウイルスも原因となりうる．

・A型とE型肝炎ウイルスは，感染者排泄物の経口的曝露により感染が成立する．

・B型とC型肝炎ウイルスは主に感染者の血液が感染源となる．現在では医療従事者の針刺事故，滅菌が不十分な器具を用いた観血的治療，刺青，覚醒剤静脈注射の回し打ちなどが感染契機となる．

・A型とB型急性肝炎は性行為感染症として発症する場合もある．

・E型肝炎ウイルスは人畜共通感染症であるため，ブタ，シカ，イノシシなどの動物の生肉を摂取することにより感染する場合がある．

B

初出:今日の治療指針2025年版 発行:2025年1月

収載:医学書院 医療情報サービス（2025年4月17日　掲-ID：c25_05718-00_a008z0007）