治療のポイント
・輸液は体液恒常性の改善と維持のために行うものであり,その目的は,水・電解質異常の是正,薬剤投与ルートの確保,栄養補充など多岐にわたる.
・輸液療法には,不足分を補充する「補充輸液」と,経口摂取分の代替としての「維持輸液」が含まれる.
・補充輸液の際は,不足している体液コンパートメントの場所(細胞内/細胞外)と物質(自由水/溶質)を確認するために,病歴やフィジカル・血液検査データを評価する.
◆病態と診断
・体液コンパートメントは,総体液の1/3を占める細胞外液と2/3を占める細胞内液が細胞膜で区切られている概念である.水は細胞膜をほぼ自由に通過するが,電解質の移動は制御される.細胞外液は1/4を占める血漿と3/4を占める間質液に分かれ,毛細血管壁によって区切られている(図1図).大分子の蛋白質は毛細血管壁を通過できないが,それ以外の電解質はほぼ自由に通過する.
・1日に必要な水分量は