Ⅰ.乳管内乳頭腫(IDP:intraductal papilloma)
頻度 ときどきみる
◆病態と診断
A病態
・乳管内乳頭腫は良性上皮性腫瘍である.好発年齢は30~55歳が多く,男性乳腺にも発症する.
・乳管が嚢胞状に拡張した場合は嚢胞内乳頭腫(intracystic papilloma)とよび,異型上皮,非浸潤癌を合併することがある.
・乳頭近傍に孤立性に発症すれば異常乳頭分泌を伴うことが多い.
B診断
・診断は,画像診断(乳腺エコー,MRIなど)を行い,腫瘍があれば針生検,腫瘍が明瞭に確認できなければ嚢胞内容物の穿刺吸引細胞診を行う.
・非腫瘤性で血性の分泌液を認める場合は,乳管内視鏡,あるいは乳管腺葉区域切除生検などがあるが,特殊な検査であり経験のある医師が行うべきで,適応を慎重にすべきである.
◆治療方針
組織生検にてIDPと診断されれば摘出生検を考慮する.しかし,異型上皮を合併しない乳管内乳頭腫