診療支援
診断

本書の利用法

1.該当する項目の網かけの中をまず読む.

2.関連する裏付け論文がその次に記載されているので興味がある部分はそこを読み進み理解を深める.


 なお,本書の決まりごととして,断りのない限り( )内の数字は95%信頼区間を示し,[ ]内の数字は最小値と最大値の範囲を示すこととする.


EBM用語解説

 診断学を理解していただくためにはある程度のEBM用語を知っておく必要がある.

 論文の批判的吟味でよく論じられる点ではあるが,論文は内的妥当性,結果の定量的表現,外的妥当性(目の前の患者に当てはまるかどうか)の3つを評価しなければならない.

 内的妥当性とは,①ブラインドで評価された信頼に足りうる診断根拠(ゴールド・スタンダード)に照らし合わされていること,②実際の患者群を反映していること(例えば心筋梗塞における心電図の報告であれば,心筋梗塞患者と健常な学生ボランティア群が比較されているよりは,救急外来を胸痛で受診し心電図が施行された患者全員で解析されているほうが,よりわれわれが診療を行う患者群に近いと考えられる),③再現性があることの3つが重要である.


再現性の指標〔κ(カッパ)〕

 再現性を定量的に表現する方法としてはκという指標がある.コインの裏表は適当に言っても50%で偶然に当てることができる.κは偶然では一致しないものが異なる観察者間でどれだけ一致するかを示す数値で,1が完全に一致,0が全く一致せず偶然を示す.0.4-0.6でかなりの一致をするという判断のおおよその目安とされる.


尤度比(likelihood ratio)

 尤度比(LR)は本書を読むにあたってまず知っていただきたい用語である.

‍ 検査特性のうち臨床的に役立つものは感度・特異度ではなく,むしろ検査結果が疾患の可能性(likelihood)をどう変えるかである.例えば心筋梗塞疑いの患者が来たとする.胸痛自体は感度90%だが,特異

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