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3 リンパ節腫脹

リンパ節腫脹

頸部や腋窩のリンパ節は直径1cm,鼠径リンパ節は直径1.5cmまでは健常者でも触知することがある.

鎖骨上リンパ節や滑車上リンパ節を触知すれば異常である.

リンパ節腫脹の1%が悪性疾患による.

鼠径リンパ節は特に素足で生活している人では健常者でも1-2cmのサイズとなりうる〔Mayo Clin Proc. 2000 Jul; 75(7): 723-32〕.


鎖骨上リンパ節腫脹

▶右鎖骨上リンパ節は胸郭内(縦隔・肺・食道)からのリンパ流を受ける.左鎖骨上リンパ節は別名Virchowリンパ節といわれ,胸郭内以外に,腹部(消化管以外に肝胆膵・腎臓・精巣・卵巣・前立腺)からのリンパ流を受ける.

▶Valsalva法にて肺尖を膨張させると触知しやすくなるかも知れない〔N Engl J Med. 1969 May 1; 280(18): 1007-8〕.


滑車上リンパ節腫脹

▶HIV感染症の診断においては,顎下や腋窩のリンパ節は1cmで有意だが,滑車上リンパ節では0.5cmで意義が高い.

▶滑車上リンパ節は手や前腕に炎症を来す原因がなければ全身性リンパ節腫脹を反映していると判断される.

□健常者(n=140)や非特異的頸部リンパ節腫脹患者(n=22)では滑車上リンパ節腫脹を認めることはないが,関節リウマチ患者の21%で,全身性リンパ節腫脹を来す疾患(悪性リンパ腫やサルコイドーシス,伝染性単核球症,Toxoplasma感染症,HIV感染症)の33%で滑車上リンパ節腫脹を認めたという報告がある〔J R Coll Physicians Lond. 1992 Apr; 26(2): 159-61〕.


原因不明のリンパ節腫脹のうち10%が専門家にコンサルトされ,生検が3.2%で施行されるが,悪性疾患は1.1%のみである〔J Fam Pract. 1988 Oct; 27(4): 373-

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