診療支援
診断

6 失神

意識消失発作

失神は年間0.6%で見られるコモンな病態で,特に高齢者に多い.

失神患者の診療では重篤な基礎疾患の鑑別と並行して,1/4で合併する外傷の診療と,1/4で見られる再発に対する対策をしていく.

救急外来受診の1-5%,緊急入院患者の1-6%は失神患者である〔Circulation. 2004 Dec 14; 110(24): 3636-45〕.

失神患者では軽微な外傷は14-29%,骨折や事故などは6-11%で伴う〔Medicine (Baltimore). 1990 May; 69(3): 160-75/Eur Heart J. 2006 Jan; 27(1): 76-82〕.

再発は21-28%で見られる〔Stroke. 1985 Jul-Aug; 16(4): 626-9/N Engl J Med. 2002 Sep 19; 347(12): 878-85〕.

一過性意識消失発作の鑑別の手順

失神とは脳血流の低下によって起こる数分以内の意識消失発作のことで,てんかんなどと区別することから始まる.

予後から考え,心原性,脳血管疾患,起立性低血圧,薬剤性,神経介在性の順に鑑別を行うが,40%は精査にかかわらず原因不明である.

診断が確定した症例のうち7-8割は病歴と身体所見で診断が可能である.

失神とは脳への酸素供給が20%以上の減少か〔Am J Med. 1981 Jun; 70(6): 1247-54〕,6-8秒の血流途絶〔J Am Coll Cardiol. 1992 Mar 15; 19(4): 773-9〕で起こる一過性意識消失発作のことである.

意識消失時間は通常数分以内である.意識消失の時間が数分以上より長い場合や意識障害が遷延する場合,てんかんや代謝性失神(低血糖発作)を考えるべきであるが,大動脈弁狭窄症のような心原性疾患,くも膜下出血などの脳血

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