意識障害の鑑別疾患
●低酸素血症,低血糖,ビタミンB1欠乏症は治療に速やかに反応するため,まず除外すべき疾患である.
●バイタルサインは重要であり,特に血圧が高い場合は頭蓋内病変を疑うが,血圧が低い場合には頭蓋内病変は稀である.
●血液ガスは情報が多く迅速に結果も得られるため,原因が明らかでない場合は施行すべきである.
●高齢者の意識障害
▶高齢者であっても脳血管障害より肺炎・尿路感染症や電解質異常による意識障害のほうが多い.
●鑑別疾患
▶意識障害は頻度の高い徴候であり,手際よく鑑別ができるようになる必要がある.筆者は診察手順に沿った以下の3×5記憶法を推奨する.
▶体温が高い場合は感染症(髄膜炎・脳炎,敗血症)以外に,内分泌疾患(甲状腺機能亢進症,副腎不全),外因性(薬物中毒・薬物離脱症,熱中症),血栓性血小板減少性紫斑病を考える必要がある.
●血圧と頭蓋内病変
意識障害患者の診察
●まず眼の診察が重要であり,瞳孔径,対光反射,眼位,眼球運動障害(OCR),睫毛反射に注意して診察をする.
●髄膜刺激徴候,四肢筋緊張,上肢落下試験,自発運動左右差,深部腱反射,病的反射は昏睡でも診察可能な神経学的所見として重要である.
●外表面上,頭部外傷がないかも確認する.
●失調性呼吸(Biot breathing)は延髄障害を示唆する.
●Glasgow Coma Scale(GCS)とJapan Coma Scale(JCS)
▶GCSは満点であってもJCSのI-1は“だいたい意識清明だが今一つはっきりしない”状態を表しており,何となく変だと感じることは非常に重要である.
・頭部外傷においてGCSが15点であってもJCSがI-1の場合,11.8%で頭部CTに異常所見があり1.2%で外科的処置を要したという報告がある〔Neurol Med Chir(Tokyo). 2007 Jul; 47(7): 291-