脱水の症候
●成人においては口腔内の乾燥や舌の縦皺の感度が比較的高く,腋窩の乾燥や窪んだ眼窩は特異度が比較的高い.
●小児では体重測定が最も良い.循環虚脱徴候(capillary refill>2秒,冷たい末梢),涙消失,ツルゴール低下があれば脱水を疑う.全身状態良好で粘膜乾燥がなければ脱水の可能性は低い.
●厳密にはvolume depletion,hypovolemia(細胞外液からのNa喪失)とdehydration(細胞内外からの水分の喪失)は異なるが,あまり区別した論文はない.
●成人における脱水の所見
▶特に高齢者ではコラーゲンの減少によりツルゴール低下,口呼吸で口が乾燥し,眼窩脂肪の減少で眼窩が窪むため,経時変化が重要である.
▶capillary refill timeはreference standardがバイタルサインで鵜呑みにできず,ツルゴール低下も成人では有用というデータはない.
●小児における体重の5%以上の脱水の診断
急性失血の身体所見
●⊿起立性心拍数増加>20/分が最も感度が高い.
●⊿起立性低血圧>20mmHgやショック指数>1.0はショックの前兆であることを示し,細胞外液の補充を要する.
●仰臥位での血圧低下は循環血漿量の30%以上の出血を示唆し,1〜2Lの輸液で血圧が安定しなければ(no responderもしくはtransient responder)輸血を要する.
●急性失血に対するバイタルサインの変化
▶急性失血では交感神経系の刺激により血圧が低下する前に頻脈や末梢動脈収縮が見られる.もし交感神経系の刺激がなければ循環血液量が5%減少しただけで低血圧となる.
▶ショック指数については「ショック」の項目参照.
●急性失血に対するバイタルサインの診断特性
検査所見
●Hbの低下が出現するのは半日以上経過してからで急性失血には感度が低い.
●高Na血症,BUN/