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4 腸閉塞各論・ヘルニア

外ヘルニア

(特に腹部手術歴のない)腸閉塞や下腹部違和感の原因としてヘルニアは必ず鑑別にあげ,腹壁・鼠径・大腿部の診察を怠ってはならない.

立位で咳をさせるなど腹圧をかけさせることで所見が現れやすくなる.

男性では鼠径ヘルニアが圧倒的に多いが,女性では大腿ヘルニア,臍ヘルニア,腹壁瘢痕ヘルニアなど種々のヘルニアが見られる.

大腿ヘルニアは多産の高齢女性に多く,嵌頓が多い.

閉鎖孔ヘルニアはやせた高齢女性に多い.Richter型ヘルニアのため慢性の経過をとることも多い.Howship-Romberg徴候は有名だが感度は低い.疑ったらCTが必要である.

大腿ヘルニアは多産の高齢女性に多く,ヘルニア門が狭く周囲の壁が強靱なことから,手術例の86%が嵌頓で,うち36%に壊死あり〔Postgrad Med J. 1992 Jan; 68(795): 26-8〕.

▶大腿ヘルニアの鼠径ヘルニアとの鑑別点は,前者は鼠径靱帯の皺より下に腫瘤を認めることだが,CT上の大腿静脈の外側への圧排像は鼠径ヘルニアとの鑑別に感度100(68-100)%,特異度90(82-95)%と有用である〔AJR Am J Roentgenol. 2007 Aug; 189(2): W78-83〕.


閉鎖孔ヘルニアはヘルニア手術の0.073%のみの稀な疾患ではあるが〔Surg Gynecol Obstet. 1988 Sep; 167(3): 217-22〕,9割が女性で高齢者に多い〔Am Surg. 1976 Apr; 42(4): 273-7〕.

▶Howship-Romberg徴候(大腿内側の痛みが大腿屈曲で軽減,伸展・外転・内旋で増強)は23.5%でしか認められない〔Ann Chir. 2003 Apr; 128(3): 159-62〕.

▶CT検査で内外閉鎖筋間に認められる腸管を描出する.

内ヘルニア

腸間膜裂孔

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