慢性下痢
●4週間以上の下痢を慢性下痢とする.
●過敏性腸症候群が最も多いが,夜中に下痢は見られないことが特徴で,体重減少・血便・貧血・脂ぎった便であれば精査が必要である.
●浸透圧性,炎症性,分泌性に分けると考えやすい.
●肛門括約筋に問題がある場合は,便失禁であり区別する.また脊損患者ではfecal impactionの合併症として溢流性便失禁がありうる.
浸透圧性下痢
●夜間に下痢が軽減し,絶食(24-72時間)・被疑薬中止で軽快するなら,浸透圧を上げる薬剤・食餌が問題か,それらを消化吸収できない腸管の問題(浸透圧性下痢)と考える.
●急性下痢後に乳製品摂取を続けていると相対的乳糖不耐性のため慢性下痢となりうる.
●浸透圧性下痢は酸化マグネシウム薬など浸透圧製剤,炭水化物吸収不良(典型的には炭水化物摂取後90分で下痢を来す),吸収不良症候群(乳糖不耐症・盲管症候群などの細菌増殖),蛋白漏出性胃腸炎,短腸症候群などが鑑別としてあげられる.
●乳糖不耐症は乳糖接取を避けるかラクターゼ投与にて下痢が改善することで臨床的に診断可能である.どうしても診断をつける必要があれば乳糖20gを経口投与し,下痢をして血糖が20mg/dL以上上昇しなければ乳糖不耐症と診断する.
●短腸症候群
▶回腸切除>100cmで水分・電解質・脂肪・脂溶性ビタミンなどの喪失が起こる.
▶半結腸切除は50cmの小腸切除に相当する.結腸+残100cm未満の空腸の場合では経腸栄養単独は困難だが,十二指腸+空腸200cm+結腸があれば経腸栄養単独の適応であることが多い.
●便中浸透圧ギャップ>100mOsm/L(浸透圧性下痢)の予測
▶浸透圧ギャップ=290-[2(Na+K)]が50-125mOsm/L以上であると浸透圧性下痢とされるが,検査できる病院はほとんどない.
▶尿定性用紙を用いて糖陽性や酸性であることが浸透圧性下痢を示唆する参考
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