診療支援
診断

11 炎症性腸疾患

炎症性腸疾患

長引く大腸炎,若年者の原因不明の腹痛・下痢・発熱・体重減少・肛門部病変では積極的に疑う.

感染性腸炎と比較して,慢性経過で,発熱は遅れ,排便回数は少なく,肉眼的血便がある割に腹痛・嘔吐は軽度である.

慢性感染症との鑑別のために海外旅行歴やHIV感染のリスクは確認しておく必要がある.

抗菌薬曝露歴があれば腸管出血性大腸炎とC. difficile関連性下痢を除外する必要がある.

スクリーニングには便潜血と貧血,低栄養,赤沈を含めた炎症の評価が有用だが,診断には内視鏡検査が優れる.

感染性腸炎との鑑別

小児においてであるが,貧血・赤沈・血便の3項目で86(76-92)%が検出可能との報告がある〔Inflamm Bowel Dis. 2002 Sep; 8(5): 325-9〕.

潰瘍性大腸炎

若年発症が多いが,高齢での発症もありうる

現在の喫煙と虫垂切除歴は可能性を下げるが,炎症性腸疾患の家族歴・動物性脂肪摂取・NSAID使用はリスク要因と考えられている.

直腸に始まる大腸炎なので,Crohn病に比較して血便・粘血便が顕著で,巨大結腸症も多い.

Crohn病との鑑別にp-ANCAが有用である.

10年以上経過した全大腸型潰瘍性大腸炎では大腸癌の発生が問題となる.

2005年度の日本では10万人あたり63.6人の罹患率であり,Crohn病の21.2人よりも多い〔J Gastroenterol. 2009; 44(7): 659-65〕.

人生初期の環境因子の要因が大きいと考えられている.

▶喫煙は罹患を40%減らすが,never smokerと比較するとformer smokerは発症頻度が1.7%増加する〔N Engl J Med. 1987 Mar 19; 316(12): 707-10〕.

▶虫垂切除群のほうが発症は少ない〔Inflamm Bowel Dis.

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?