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12 過敏性腸症候群

過敏性腸症候群

日本人における過敏性腸症候群の有病率は10%を超えると推定される.

機序はストレス→脳腸相関→腸管過敏性・消化管運動異常で,若年者・女性に多い.

このインターネットを介した質問表による調査では過敏性腸症候群の有病率は全体で13.1%であった.

Manningの基準

①粘液排出,②残便感,③腹痛と一致した軟便,④腹痛と一致した頻便,⑤排便で腹痛改善,⑥腹部膨満感のうち3つを満たせばManningの基準を満たすが,診断能はそれほど高いわけではなく除外診断が重要である.

過敏性腸症候群の診断(大腸内視鏡検査や注腸検査が正常であることの予測)

RomaⅢcriteria

1.6か月以上前から症状があり,

2.過去3か月は毎月3日以上の再発性の腹痛もしくは腹部違和感があり,

3.①排便で症状改善,②症状に一致して頻便,③症状に一致して便の性状変化のうち2項目以上が見られるときに過敏性腸症候群と診断する.

Roma criteriaを1992年にInternational Working Teamが提唱してからは,2006年に発表されたRomaⅢに至るまでRoma criteriaが広く用いられている.

機能性下痢症はRomaⅢでは過敏性腸症候群とは分けられ,腹痛や腹部膨満を伴わないものと分離された.

Roma criteriaでは症状が継続することで診断能を上げている.つまり,長期間状態が継続かつ安定していることで,他の疾患を除外している.

検査・鑑別診断

新規発症者では炎症性腸疾患や消化管悪性腫瘍などの消化管疾患を除外するために,便潜血や採血(貧血や炎症所見),さらに必要に応じて内視鏡検査を行う.

下痢型では消化管疾患以外に下剤乱用と甲状腺機能亢進症を見落とさないようにする.

X線写真:肝彎曲部・脾彎曲部にガスが多量貯留し,同部に疼痛を訴えている場合は,hepatic f

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