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14 下血・下部消化管出血

血便の頻度

血便は人口の15%と高頻度で見られ,特に若年者に多いが,多くは医療機関を受診しない.

人口の15.5(13.6-17.4)%で直腸出血の報告あり.20-40歳では18.9%で,40歳以上の11.3%よりも多い.便秘〔OR=3.03(2.09-4.41)〕・下痢〔OR=1.90(1.25-2.84)〕は直腸出血に関連があり.1年間に診察を受けるのはこれらの患者のうち,13.9(9.6-19.1)%のみであった〔Am J Gastroenterol. 1998 Nov; 93(11): 2179-83〕との報告もある.

下血の出血部位の推定

吐血や黒色便・タール便は上部消化管出血を考える.黒色便は鉄剤でも起こるが,便潜血陽性となるのは稀である.

鮮血付着便は直腸〜肛門からの出血と考える.便器に血が散れば肛門からの出血の可能性が高い.粘血便は結腸炎症性疾患・腫瘍を示唆する.

大量鮮血便は下部消化管からの出血が多いが,10%以上は上部消化管からの出血で,特にバイタル不安定やBUN/Cr≧30あれば上部消化管出血と考える.

上部・下部消化管内視鏡検査陰性の場合,小腸や胆道・膵管からの出血も考える.

黒色便は鉄剤でも起こるが,鉄剤内服(合計184例)では便潜血陽性の偽陽性はない〔Gastroenterology. 1989 Jan; 96(1): 74-8/Am J Gastroenterol. 1990 May; 85(5): 558-61/Am J Gastroenterol. 1991 Oct; 86(10): 1442-4〕.

鮮血便であっても経鼻胃管にて9.6(4.9-16.6)%で上部消化管出血が判明する〔Am J Emerg Med. 2007 Mar; 25(3): 340-4〕.

上部・下部消化管内視鏡検査で出血源が不明な消化管出血

▶消化管出血の10-20

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