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18 嘔気・消化不良

嘔気・嘔吐

嘔気・嘔吐は消化管疾患とは限らない.頭蓋内病変・前庭神経疾患・心筋梗塞・消化管以外の腹部疾患・薬剤性・妊娠・高Ca血症や糖尿病ケトアシドーシスも鑑別にあげる.

3×3の嘔吐疾患記憶法

MEMO 嘔気・嘔吐の対症療法

嘔気を止める効果は5-HT3拮抗薬やドロペリドール(ドロレプタン®)が強いが,5-HT3拮抗薬は化学療法時,ドロレプタン®は麻酔時のみで保険適用がある.

そのため,メトクロプラミド(プリンペラン®)・ドンペリドン(ナウゼリン®)がよく使用されるが,効果は強くない.

▶嘔気に対してドロペリドール(ドロレプタン®)1.25mgは有効だが,プリンペラン®10mgやプロクロルペラジン(ノバミン®)10mgはプラセボと同等〔Am J Emerg Med. 2006 Mar; 24(2): 177-82〕である.

▶プリンペラン®30mgとナウゼリン®30-60mgは有効性・副作用とも有意差ないが〔Br J Clin Pract. 1991 Winter; 45(4): 247-51〕,プリンペラン®は錐体外路徴候を来しやすく,ナウゼリン®は(動物実験で)不整脈誘発のリスクが高いとされる.

▶プリンペラン®は授乳婦,ナウゼリン®は妊婦には避けたほうがよく,両者とも褐色細胞腫ではクリーゼ誘発のリスクあり.

一時的な胃排泄/消化管運動促進の目的ならエリスロマイシンが優れる.

▶プリンペラン®40mg/日静注よりエリスロマイシン400mg/日静注のほうが経管栄養のための胃排泄は良好で優れる〔Crit Care Med. 2007 Feb; 35(2): 483-9〕.これはエリスロマイシンがモチリン受容体に結合することによる.

長期のマイルドな効果としてはクエン酸モサプリド(ガスモチン®)が期待される.

▶胃排泄促進〔Eur J Clin Pharmacol.

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