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21 門脈血栓症・上腸間膜静脈血栓症

門脈血栓症,上腸間膜静脈血栓症の原因

80%で凝固能亢進状態もしくは局所的な原因が同定される.

局所的な原因として胆道感染,膵炎,虫垂炎などの消化管の炎症性疾患が重要である.

肝硬変もリスク要因であるが,他に原因がない場合には肝細胞癌を否定する必要がある.

80%で原因が見つかり,うち60%が血栓形成傾向で40%が局所因子とされる〔Hepatology. 2000 Mar; 31(3): 587-91〕.

代償性肝硬変では門脈流うっ滞により0.6-16%の頻度で門脈血栓症が起こるが,非代償性肝硬変ではリスクは増大し,特に肝細胞癌合併症例では35%と高頻度となる〔Aliment Pharmacol Ther. 2005 Jan 1; 21(1): 1-9〕.

急性門脈血栓症,急性上腸間膜静脈血栓症

腹痛や嘔気,下痢,下血で発症するが,腸管虚血に陥ることは少ない.

Bacteroides fragilis菌血症との関連性が示唆されている.

5%未満に生じる腸管虚血が重大な問題である.脾腫はありうるが,腹水を伴うことは少ない.また肝障害は乏しいことが多い.

Bacteroides sp.は一過性の抗カルジオリピン抗体産生に関与する〔Am J Med Sci. 2003 Jun; 325(6): 365-8〕ためか,原因不明のB. fragilis菌血症と門脈血栓症は関連性が報告されており〔J Microbiol Immunol Infect. 2002 Dec; 35(4): 255-8/J Hepatol. 2000 May; 32(5): 865-71〕,急性の門脈血栓症ではB. fragilis菌血症を念頭におく必要がある.

慢性門脈血栓症

慢性門脈血栓症は静脈瘤からの出血が最も問題であるが,静脈瘤の形態に比して出血の頻度は少ない.

慢性門脈血栓症の場合,食道静脈瘤が85-

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