肝細胞障害か胆道系酵素上昇パターンかの鑑別
●“肝障害”は,肝細胞障害,胆道系酵素上昇,肝合成能低下の3つに分けて考えるとよい.
●トランスアミナーゼ<500IU/LでALP>正常上限の3倍であれば胆道閉塞,トランスアミナーゼ>500IU/LでALP<正常上限の3倍ならば肝細胞障害パターンと考える.
●ただし胆道閉塞の場合,胆道系酵素(ALP・γGTP)はトランスアミナーゼ(AST・ALT)より遅れて上昇するため,1回の採血で胆道閉塞なしとはいえない.
肝逸脱酵素(AST・ALT・LDH)上昇
●ALT優位なら肝疾患だが,AST優位ならLDHとの比率で肝疾患か否か判断する.
●LDH/AST比は肝炎ならば5未満となる.20までは種々の疾患でありうるが,20以上ならば血液疾患と悪性腫瘍を考える.
●肝細胞内にはALTよりASTが3倍以上存在するため,一気に肝臓が崩壊するとAST/ALTは3倍となるが,半減