慢性肝疾患の鑑別
●無症状で多いものは脂肪肝,比較的頻度も病的意義も高いのはアルコールやB型/C型肝炎であるが,ABCDEFGHIJと覚えると漏れが少ない.
A.AIH(自己免疫性肝炎),Amyloidosis(アミロイドーシス)
B.B型肝炎
C.C型肝炎
D.Drug(薬剤性肝障害)
E.Ethanol(アルコール性肝障害)
F.Fatty liver〔脂肪肝,NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)〕
G.Growth(腫瘍),Granulomas(肉芽腫性疾患)
H.Hemodynamic(うっ血肝)
I.Inherited(遺伝性:ヘモクロマトーシス・Wilson病・α1-AT欠損症)
J.Juice(胆汁うっ滞:閉塞性黄疸,原発性胆汁性肝硬変,原発性硬化性胆管炎)
●IgG>2,000mgとなるのは自己免疫性肝炎,IgAが高いのはアルコール性肝炎,IgMが高いのは原発性胆汁性肝硬変である.
●コレステロールが高いのは原発性胆汁性肝硬変,コリンエステラーゼが高いのは脂肪肝と甲状腺機能亢進症(後者はコレステロール低値)である.
自己免疫性肝炎
●中年女性の肝障害で高γグロブリン血症(特にIgG>2g/dL)ならば疑う.
●診断基準に照らし合わせながら診断するが,基本は除外診断である.特に日本人では抗核抗体が診断に有用である.
●日本では80%以上が40歳以降で50歳代にピークがある.
●抗体により3種類に分類されるが,抗核抗体をまず測定する.抗核抗体陰性ならば抗LKM抗体を測定する.抗平滑筋抗体や抗SLA抗体は保険適用外検査である.
▶日本では圧倒的にType 1が多いとされる.またType 2で抗HCV抗体同時陽性者をType 2bと別に分けることが多い.HCV陰性のType 2aは小児に多い.
●診断基準(International Autoimmune Hepatitis Group)
▶総合点数の
関連リンク
- 臨床検査データブック 2023-2024/ロイシンアミノペプチダーゼ〔LAP〕 [保] 11点(包)
- 今日の治療指針2023年版/原発性胆汁性胆管炎
- 新臨床内科学 第10版/5 原発性胆汁性胆管炎
- 臨床検査データブック 2023-2024/AST/ALT〔GOT/GPT〕比による鑑別診断
- 新臨床内科学 第10版/6 原発性硬化性胆管炎
- 新臨床内科学 第10版/(1)原発性高カイロミクロン血症
- 新臨床内科学 第10版/3 自己免疫性膵炎
- 新臨床内科学 第10版/(5)タンジール病
- 新臨床内科学 第10版/【23】意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症
- 今日の診断指針 第8版/先天代謝異常による肝障害
- 今日の診断指針 第8版/非アルコール性脂肪性肝疾患
- 今日の診断指針 第8版/体質性黄疸