診療支援
診断

6 慢性肝障害

慢性肝疾患の鑑別

無症状で多いものは脂肪肝,比較的頻度も病的意義も高いのはアルコールやB型/C型肝炎であるが,ABCDEFGHIJと覚えると漏れが少ない.

A.AIH(自己免疫性肝炎),Amyloidosis(アミロイドーシス)

B.B型肝炎

C.C型肝炎

D.Drug(薬剤性肝障害)

E.Ethanol(アルコール性肝障害)

F.Fatty liver〔脂肪肝,NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)〕

G.Growth(腫瘍),Granulomas(肉芽腫性疾患)

H.Hemodynamic(うっ血肝)

I.Inherited(遺伝性:ヘモクロマトーシス・Wilson病・α1-AT欠損症)

J.Juice(胆汁うっ滞:閉塞性黄疸,原発性胆汁性肝硬変,原発性硬化性胆管炎)

IgG>2,000mgとなるのは自己免疫性肝炎,IgAが高いのはアルコール性肝炎,IgMが高いのは原発性胆汁性肝硬変である.

コレステロールが高いのは原発性胆汁性肝硬変,コリンエステラーゼが高いのは脂肪肝と甲状腺機能亢進症(後者はコレステロール低値)である.

自己免疫性肝炎

中年女性の肝障害で高γグロブリン血症(特にIgG>2g/dL)ならば疑う.

診断基準に照らし合わせながら診断するが,基本は除外診断である.特に日本人では抗核抗体が診断に有用である.

日本では80%以上が40歳以降で50歳代にピークがある.

抗体により3種類に分類されるが,抗核抗体をまず測定する.抗核抗体陰性ならば抗LKM抗体を測定する.抗平滑筋抗体や抗SLA抗体は保険適用外検査である.

▶日本では圧倒的にType 1が多いとされる.またType 2で抗HCV抗体同時陽性者をType 2bと別に分けることが多い.HCV陰性のType 2aは小児に多い.

診断基準(International Autoimmune Hepatitis Group)

▶総合点数の

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?