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7 肝細胞癌・転移性肝腫瘍

肝細胞癌

肝細胞癌の80-90%は肝硬変を合併する.

肝細胞癌の90%が肝炎ウイルスの感染による.

ウイルス性肝硬変からの発癌率はB型肝炎・C型肝炎でそれぞれ3%/年,6%/年(再発の場合はその倍の頻度)とC型肝炎で肝細胞癌の発生率は高いが,B型肝炎では肝硬変を介さず肝癌を発症しうることが特徴である.

肝硬変で肝性昏睡が増悪した場合,腹水が急激に増加した場合(門脈腫瘍塞栓),多血症が見られた場合(エリスロポエチン産生肝細胞癌)には肝細胞癌合併を疑う.

日本では肝細胞癌の15%でHBs抗原陽性,75-80%でHCV抗体陽性と推測されている.

肝細胞癌の腫瘍マーカー

採血検査ではαフェトプロテイン(AFP)とPIVKA-Ⅱが相補的に有用である.

AFP>20μg/Lで肝細胞癌を疑い,200μg/L以上で強く疑うが,500μg/Lまでは良性疾患でもありうる.

AFPの値が軽度上昇の場合はAFP-L3測定追加が有用である.

PIVKA-Ⅱはワルファリン内服・ビタミンK欠乏・抗菌薬の影響を受けるが,AFPよりも感度が高い.

肝細胞癌の画像診断

画像検査ではエコー検査が簡便で有用だが見落としも多いため,肝細胞癌のリスクを有する肝硬変患者では採血やCTと併用し2-6か月ごとに行う.

2-3cm以上の腫瘤であれば,超音波で鮮明かつ平滑な境界,薄い辺縁低エコー帯,モザイクパターン,内部エコーの星形無エコー域,後方エコー増強,外側陰影の6項目で確定診断が可能である.

ドップラーエコーも有用である.

dynamic-CTやMRIはエコー検査より感度が高く,肝細胞癌を積極的に疑う場合には追加で施行する.

CTやMRIでも肝細胞癌かどうかがはっきりしない2cm未満の腫瘤は,3か月後に再検査を行う.

3cm以上の肝腫瘍における,超音波検査での肝細胞癌診断

▶一方,2cm以下の肝細胞癌が68%を占める

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